冠動脈のステント手術から1年が経過しましたので再狭窄を起こしていないかを検査することが目的でした。
結果は良好でほっと安堵しています。
殆どの方が冠動脈という言葉に馴染みがないと思います。
心臓筋肉、即ち心筋に酸素と栄養を運ぶ大変重要な役割を担っている動脈です。
心臓を取り巻くように三本の動脈が絡まっています。この動脈のお蔭でヒトは生まれて死ぬまで生き続けることができます。
この三本の動脈を逆さまにすると、冠の形になることからそう冠動脈と呼ばれています。
30年以上人間ドックを受診していても、心臓の精密検査を受けることはありませんでした。
心電図には全く異常がなかったからです。そこが盲点でした。
余談ですが、病院で視力検査を行いました。
右目と左目で焦点が合わない所があります。
先生曰く、脊椎動物は右目と左目で焦点が合わずにぼけてしまうところが必ずあるそうです。
フランスのエドム・マリオットに発見されましたのでマリオットの盲点とも呼ばれているそうです。
話を戻しますが、過去も今でも心電図に全く異常はありません。
米国のクリントン大統領ですら8年間の任期中には発症せずに、退任後心臓バイパス手術を受けています。
それだけ発見が難しい病気なのです。
私の場合、たまたま週末自宅で寛いでいるときに心筋梗塞の発作が起こり、緊急搬送、緊急手術で九死に一生を得ることができました。
私は良く海外出張に出かけますが、飛行機の中で発作が起きていたらと思うとぞっとします。
所謂、エコノミー症候群です。
後で聞いたところ、最近は心臓ドックという専門クリニックがあってMRIやCTで画像診断の進歩で冠動脈の狭窄状況をかなり精緻に知ることができるそうです。
日本人の死亡原因の第二位が心疾患で、毎年約20万人が亡くなっています。
心臓に不安のある方は是非とも受診をお勧めします。5−10万円と高価ですが、命には代えられません。
私は運が良かったと思います。
土曜の午後、自宅で寛いでいる時の発作です。
妻に救急車を呼んでもらうと約5分で駆けつけて頂きました。
自宅から8キロほどのところにある日医大北総病院に15分程度で搬送され、即救急救命のドクター達による手術が開始されました。
発作が始まって1時間以内で手術が開始され、無事終了したのは4時間後でした。
後で聞いたらその病院はドクターヘリ発祥の救急病院でしたので、最高の救急チームに施術して頂いたことになります。
神戸の大震災の時に、ご記憶がおありだと思いますが、上空を飛んでいたのは人命救助に役に立たないメディアのヘリばかりでした。
その教訓を生かして千葉の日医大北総病院の増田教授が中心となってドクターヘリ制度が日本に作られました。
入院中、病院の窓からドクターヘリの離着陸を眺めていました。
今ではほとんどの都道府県に最低1台は設置され、東日本大震災では大活躍されました。
救急医師がヘリで現場に飛んで救急治療を行う仕組みです。
そこでは、ドクターヘリのテレビドラマの収録も行われたそうです。
15分で事故現場に医師が駆け付けますので既に多くの尊い人命が救われています。
因みにドクターヘリ先進国のドイツ、アメリカ、スイスなど欧米ではこの15分ルールの体制が完全整備されています。

昨年、入院中に友人が見舞いに来てくれました。
「家を買うときに消防署と優良な救急病院が近場にあることを第一条件に家選びをするべきだ。」と、ゴッドハンドの異名を持つ著名な某外科医から直接聞いたそうです。
結果的に、20年ほど前に何も考えずに買った自宅がその条件を揃えていたことになります。
救急搬送に関しても、たらい回しにされる話はよく聞く話です。
実は、東京都が最悪で平均42分だそうです。一度、近隣の救急病院を調べておかれると良いと思います。