建設労働者不足や介護士などの専門職に加え、外食産業やコンビニなどでも若年労働力不足が深刻である。
当然ながら、日本は、労働力不足で潜在的な経済成長率の低下傾向が顕著になれば、今後の高齢化社会を乗り切ることができなくなるだろう。そこで、問題解決の方策はあるのだろうか・・・
テレビを何気なく見ていたら、ギリシャのイカリア島の話が耳に入ってきた。
某テレビ局で血管年齢の特集を行っており、イカリア島までロケに行ってきたのだ。
ニューヨーク・タイムス紙は2012年10月24日に“人が死ぬことを忘れた島”の特集を記載した。
ギリシャ戦争の退役軍人のStamatis Moraitisが1943年に米国にやってきた。
その後、ギリシャ系アメリカ人とElpinkiと結婚し3人の子供に恵まれる。
1976年に息切れを感じて医師の診察を受けると、肺がんで余命半年と宣告される。
他の9名の米国医師もその診断に同意した。
絶望したMoraitis氏は数千ドルの葬儀費用がかかる米国より200ドル程度で済む故郷のイカリア島に帰国した。
しかし、その後30年以上経った今でもMoraitis氏は98歳ですこぶる健康である。
余命半年と診断した米国の医師達は全員死亡したというのに。
ギリシャ大学の研究者は、イカリア島民は米国人の2.5倍の確率で90歳まで生きるし、癌や循環器系の病気になるまで8−10歳も米国人より長生きするし、痴呆症にかかる比率も四分の一以下であると発表している。
アテネ大学の医学部の調査では、小粒の葡萄から生まれる赤ワイン、蜂蜜、オリーブオイル、コーヒーなどをふんだんに使った地中海型の食生活やシエスタという昼寝などを長寿の理由に上げている。
Moraitis氏は今でも葡萄畑やオリーブ園の手入れを行うのが日課になっている。
イカリア島には多くの丘や坂道があり、適度の運動を伴う仕事がMoraitis氏の生き甲斐になっている。

Stamatis Moraitis氏

イカリア島
実は、私は“長寿の秘密は適度な運動を伴う仕事が大きい”との仮説を持っている。
私は九州の田畑の耕作をN氏に委託している。
今年5月に帰省して挨拶に伺うと、N氏は留守にしていた。
諦めて帰ろうとするとN氏は軽自動車を運転しながら奥さんと帰ってきた。年齢を聞くと90歳だという。
聖路加病院の日野原理事長は今年10月に103歳を迎えるが、現役である。
定年退職後の平均20年余りの余生を、死ぬまで何もしないで生きるのか、または経験や知識を生かして世の中に貢献する生き甲斐を見出すのか。
無論、人それぞれの人生観である。
しかし、仕事という生きがいを持った団塊の世代のごく一部が現役復帰すれば大きな成長パワーに転換できる可能性があるだろう。
仕事は、ネットで自宅でもやれる仕組みが利用できる世の中である。
ITに強い団塊の世代はクラウド・ソーシングの頼もしい担い手になれるはずである。
大手のランサーズは、既に登録者が37万人を超えている。
photo & cf
: 『The Island Where People Forget to Die』New York Times magazine
: 『ギリシャ・イカリア島と沖縄との共通点』
: 映画『ハッピー・リトル・アイランド』