つまり“食は人なり。”です。
健康を維持できるか、病気になるかどうかは、鼻と口から入ってくる空気や水や食べ物で決まるという意味です。

健康で幸せな人生を送りたいのは万人共通の願いです。
誰しも健康寿命を全うして最後はピンコロリが理想的です。
両親のお蔭で健全に生まれてきたからには、病気にならずに健康で長生きできるかどうかは本人の食生活を含む生活習慣で決まります。
従って、交通事故や自然災害を別にすると、人の寿命は決して運命で決まるものではなく個々人の意志で決まるという自覚こそ大切です。
以前、某TV局の高齢者医療の特集番組で、北欧の医療介護の考え方は高齢者を“立てる”政策に対し、日本は“寝かせる”政策だとレポートしていたことが印象的でした。
日本では高齢者になれば、直ぐに老人ホームや介護施設に入ることが当たり前です。
日本人の寿命と健康寿命の差、何らかの病気を抱えて終末を迎えるまでの期間は、男性は約9年、女性約13年です。
日本人の晩年は決してQOLの高い幸せとは言えません。
その上、高齢者の医療費・介護費の急増で国・地方財政が行き詰まるのは時間の問題です。

世界に冠たる国民皆保険の日本では、病気になれば病院に行って医者に診てもらえるとういう安心感が、却って健康に関しては自助努力するより病院や介護施設にお任せという意識を蔓延させたのではないでしょうか。
その意味で、日本人は健康や病気に関して自力本願というより他力本願ではないかと思います。
漸く、最近でこそセカンド・オピニオンという言葉を聞きますが、やはりそれも主治医に遠慮してためらうケースが多いのではないでしょうか。

この一年余りで数名の友人が癌で亡くなりました。
残念ながら、訃報を聞いてからだったので、何もしてあげられませんでした。
しかし、癌に侵されたことを知った友人や知人にはある書籍をお送りしています。
それは、「がん6回、人生全快」(講談社文庫 関原健夫著)という単行本ですが、著者は30年来の友人です。その本は、6回の壮絶な癌手術を経験した著者が、完全に癌を克服するまでの闘病の記録です。
大腸から肝臓そして肺と転移しますが、その都度勇気を振り絞り現実と向き合い挑戦していった姿が克明に記録されています。
癌患者のみならず人々に勇気を与える素晴らしい書籍です。
数年前にはNHKのドラマにもなりました。
米国の癌発症数と死亡者数は1990年代から減少に転じています。
しかし、日本では高齢化の影響もあって、医学の進歩にも拘わらず今年の癌の発症数80万人そして死亡者数37万人が予想されていますが、年々記録を更新しているのが現実です。
東京大学の中川恵一准教授は、日経新聞のコラムで癌の発症原因は、遺伝的な要素はわずか数%で大半の原因は生活習慣にあると言っています。
まずは予防医学の観点から、食べ物や飲み物などの生活習慣を見直すこと、更に早期発見のための検診や人間ドックの受診に努めることが肝心です。
中川准教授は早期の1−2 cmの癌は90%が治癒すると言っています。
しかし、目視で発見できるそのサイズになるには1−2年かかるので、1−2年に一度の検診が必要と言うのは理にかなっています。
自分自身の健康や寿命は他人任せにするのではなく、食生活や運動も含めた生活習慣の改善を通して自力本願の気持ちで天寿を全うしたいものです。
因みに、天寿の天は一一八と分解されることから118歳と言われます。
日本人長寿者の中からこの天寿年齢を全うされる方がまもなく出てこられることと思います。