2014年08月26日

“死ぬことを忘れた島”−ギリシャ・イカリア島

団塊の世代の大量定年時代を迎え、至る所で労働力不足が深刻な問題となっている。
建設労働者不足や介護士などの専門職に加え、外食産業やコンビニなどでも若年労働力不足が深刻である。
当然ながら、日本は、労働力不足で潜在的な経済成長率の低下傾向が顕著になれば、今後の高齢化社会を乗り切ることができなくなるだろう。そこで、問題解決の方策はあるのだろうか・・・

テレビを何気なく見ていたら、ギリシャのイカリア島の話が耳に入ってきた。
某テレビ局で血管年齢の特集を行っており、イカリア島までロケに行ってきたのだ。

ニューヨーク・タイムス紙は2012年10月24日に“人が死ぬことを忘れた島”の特集を記載した。
ギリシャ戦争の退役軍人のStamatis Moraitisが1943年に米国にやってきた。
その後、ギリシャ系アメリカ人とElpinkiと結婚し3人の子供に恵まれる。
1976年に息切れを感じて医師の診察を受けると、肺がんで余命半年と宣告される。
他の9名の米国医師もその診断に同意した。

絶望したMoraitis氏は数千ドルの葬儀費用がかかる米国より200ドル程度で済む故郷のイカリア島に帰国した。
しかし、その後30年以上経った今でもMoraitis氏は98歳ですこぶる健康である。
余命半年と診断した米国の医師達は全員死亡したというのに。


ギリシャ大学の研究者は、イカリア島民は米国人の2.5倍の確率で90歳まで生きるし、癌や循環器系の病気になるまで8−10歳も米国人より長生きするし、痴呆症にかかる比率も四分の一以下であると発表している。
アテネ大学の医学部の調査では、小粒の葡萄から生まれる赤ワイン、蜂蜜、オリーブオイル、コーヒーなどをふんだんに使った地中海型の食生活やシエスタという昼寝などを長寿の理由に上げている。
Moraitis氏は今でも葡萄畑やオリーブ園の手入れを行うのが日課になっている。
イカリア島には多くの丘や坂道があり、適度の運動を伴う仕事がMoraitis氏の生き甲斐になっている。

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Stamatis Moraitis氏

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イカリア島

実は、私は“長寿の秘密は適度な運動を伴う仕事が大きい”との仮説を持っている。
私は九州の田畑の耕作をN氏に委託している。
今年5月に帰省して挨拶に伺うと、N氏は留守にしていた。
諦めて帰ろうとするとN氏は軽自動車を運転しながら奥さんと帰ってきた。年齢を聞くと90歳だという。
聖路加病院の日野原理事長は今年10月に103歳を迎えるが、現役である。

定年退職後の平均20年余りの余生を、死ぬまで何もしないで生きるのか、または経験や知識を生かして世の中に貢献する生き甲斐を見出すのか。
無論、人それぞれの人生観である。
しかし、仕事という生きがいを持った団塊の世代のごく一部が現役復帰すれば大きな成長パワーに転換できる可能性があるだろう。
仕事は、ネットで自宅でもやれる仕組みが利用できる世の中である。
ITに強い団塊の世代はクラウド・ソーシングの頼もしい担い手になれるはずである。
大手のランサーズは、既に登録者が37万人を超えている。


photo & cf
: 『The Island Where People Forget to Die』New York Times magazine
: 『ギリシャ・イカリア島と沖縄との共通点』
: 映画『ハッピー・リトル・アイランド』
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2014年08月22日

入院して思ったこと

一年振りに三日ほど検査入院してきました。
冠動脈のステント手術から1年が経過しましたので再狭窄を起こしていないかを検査することが目的でした。
結果は良好でほっと安堵しています。

殆どの方が冠動脈という言葉に馴染みがないと思います。
心臓筋肉、即ち心筋に酸素と栄養を運ぶ大変重要な役割を担っている動脈です。
心臓を取り巻くように三本の動脈が絡まっています。この動脈のお蔭でヒトは生まれて死ぬまで生き続けることができます。
この三本の動脈を逆さまにすると、冠の形になることからそう冠動脈と呼ばれています。
30年以上人間ドックを受診していても、心臓の精密検査を受けることはありませんでした。
心電図には全く異常がなかったからです。そこが盲点でした。


余談ですが、病院で視力検査を行いました。
右目と左目で焦点が合わない所があります。
先生曰く、脊椎動物は右目と左目で焦点が合わずにぼけてしまうところが必ずあるそうです。
フランスのエドム・マリオットに発見されましたのでマリオットの盲点とも呼ばれているそうです。


話を戻しますが、過去も今でも心電図に全く異常はありません。
米国のクリントン大統領ですら8年間の任期中には発症せずに、退任後心臓バイパス手術を受けています。
それだけ発見が難しい病気なのです。

私の場合、たまたま週末自宅で寛いでいるときに心筋梗塞の発作が起こり、緊急搬送、緊急手術で九死に一生を得ることができました。
私は良く海外出張に出かけますが、飛行機の中で発作が起きていたらと思うとぞっとします。
所謂、エコノミー症候群です。

後で聞いたところ、最近は心臓ドックという専門クリニックがあってMRIやCTで画像診断の進歩で冠動脈の狭窄状況をかなり精緻に知ることができるそうです。
日本人の死亡原因の第二位が心疾患で、毎年約20万人が亡くなっています。
心臓に不安のある方は是非とも受診をお勧めします。5−10万円と高価ですが、命には代えられません。


私は運が良かったと思います。
土曜の午後、自宅で寛いでいる時の発作です。
妻に救急車を呼んでもらうと約5分で駆けつけて頂きました。
自宅から8キロほどのところにある日医大北総病院に15分程度で搬送され、即救急救命のドクター達による手術が開始されました。
発作が始まって1時間以内で手術が開始され、無事終了したのは4時間後でした。
後で聞いたらその病院はドクターヘリ発祥の救急病院でしたので、最高の救急チームに施術して頂いたことになります。

神戸の大震災の時に、ご記憶がおありだと思いますが、上空を飛んでいたのは人命救助に役に立たないメディアのヘリばかりでした。
その教訓を生かして千葉の日医大北総病院の増田教授が中心となってドクターヘリ制度が日本に作られました。
入院中、病院の窓からドクターヘリの離着陸を眺めていました。
今ではほとんどの都道府県に最低1台は設置され、東日本大震災では大活躍されました。
救急医師がヘリで現場に飛んで救急治療を行う仕組みです。
そこでは、ドクターヘリのテレビドラマの収録も行われたそうです。
15分で事故現場に医師が駆け付けますので既に多くの尊い人命が救われています。
因みにドクターヘリ先進国のドイツ、アメリカ、スイスなど欧米ではこの15分ルールの体制が完全整備されています。

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昨年、入院中に友人が見舞いに来てくれました。
「家を買うときに消防署と優良な救急病院が近場にあることを第一条件に家選びをするべきだ。」と、ゴッドハンドの異名を持つ著名な某外科医から直接聞いたそうです。
結果的に、20年ほど前に何も考えずに買った自宅がその条件を揃えていたことになります。
救急搬送に関しても、たらい回しにされる話はよく聞く話です。
実は、東京都が最悪で平均42分だそうです。一度、近隣の救急病院を調べておかれると良いと思います。

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2014年08月19日

トリクロサンの危険性

今年になって米国ではトリクロサンの発がん性に関する記事や番組が目立ちます。

消費者団体から発がん性リスクが指摘され、特にやり玉に挙がっているのが口腔内ケアを売り物にしてきたコルゲートのTOTALという歯磨きです。
競合相手のP&Gは今年末までに自社の全製品からトリクロサンを撤去することを表明しました。
米国最大の小売り業者であるウォルマートや大手スーパーのターゲットもトリクロサンを含む製品の取り扱いに敏感になっています。

トリクロサンは米国FDAが1997年に認可を出してより、多くの生活用品に取り入れられてきました。
しかし、FDAのTOTAL製品の承認プロセス自体に問題があったのではないかとの疑念がささやかれています。
大半の科学的な資料はコルゲート社のもので十分なDue Diligenceが行われなかったのではないかという疑惑です。
米国環境保護庁(US EPA)は、トリクロサンが塩素(水道水に殺菌で含まれている)と接触すると強力な毒性を含む化学成分であるクロロホルムに変化するので発がん性があると警告しています。

トリクロサンは、歯茎病や歯周病予防や口腔殺菌が目的の歯磨きやマウスウォッシュなどに幅広く利用されてきました。
その他では殺菌石鹸やスキンケア商品にも広く取り入れられています。
実は、ヨーロッパでは米国より早く多くの国でトリクロサンの使用を制限または禁止しています。
米国では今年の5月にミネソタ州がトリクロサンの全面禁止措置に踏み切り注目されています。

一方、我が国現状は、全く手が付けられていません。
消費者団体の活動も欧米に比べマイルドでのんびりしています。
ケンコーコムの「トリクロサン」のサイトでも4ページ160品目が並べられています。
TVでも特集することはありません。
何故なら大手石鹸や洗剤メーカーはテレビ局の最大手広告主だからです。

そこで、我が家の歯磨きやマウスウォッシュを調べてみました(写真添付)。
両方とも裏側にきちんとトリクロサンが記載してあります。
直ぐに使用を中止することにしました。
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本日、検査入院した病室の洗面所のハンドソープにも堂々と「有効成分:トリクロサン」の表示があります。


特に、口腔内の粘膜内層は約90%の吸収効率があり、血液、脳、内臓などへの最短コースで吸収されるそうです。
欧米で禁止の風潮の中でトリクロサン入りの生活用品を使うかどうかはあくまで自己責任です。
日本の厚労省の警告を待って行動するかどうかは、各人の自由です。
メリットとデメリットを考慮して最終的なご判断は消費者自身でお願いします。






posted by 筒井豊春 at 10:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月15日

お盆に想うこと

お盆の真最中です。
我が家も義母の初盆でもあり13日より提灯や果物で賑やかに供養をしています。
お盆という風習は調べてみると1400年近い。仏教伝来とほぼ同時であるようです。
7世紀の記述にも残されています。(下記参照)

お盆になると、亡くなった方々の想い出がふつふつと蘇ってきます。
そんな折、もっと元気で長生きしてほしかったとしみじみと思います。
しかし、亡くなってしまった方は、寿命だったのかと諦めるだけです。
それでもやはり寿命だけではない気がして、もっと何かしてやれたのではと自責の気持ちが溢れてきます。

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先月のブログで「本気ドック」について書きました。
それを読んだ人間ドックの社長と昨日お話をする機会がありました。
その社長がいうには、通常のドックでも約3割ほど見落としが起きるそうです。
特に、がんは数カ月おきにチェックしないと早期発見が難しいとのこと。
確かに、多くの検診のチェックをする以上、中には見落としは不可避なのでしょう。
しかし、見落としがあったからといって人間ドックを相手に訴えても意味がない。
どこで受診するかは自己責任です。

先日、来年の定年を待たずに、部下が辞表を持ってきました。
そこで、理由を聞くと、末期がんの弟の面倒をみるのだという。
絶句しました。
通常の健康診断ではエコー検査は2年に一度だそうです。
彼の弟は2年に一度のエコー検査で肝臓がんが発見されたそうです。
いろいろ手を尽くしたようですが体中に転移していて手遅れで難しいという。
それでも何かしてあげられないかと部下は必死で悩んできたそうです。

前述の人間ドックの社長曰く、がんは半年で結構大きくなる。
そこのドックは半年に一度の年2回制をとっている。
早期発見にためには半年おきに経験豊富な専門医がじっくりと検査を行うべきだという。納得です。
男性の二人に一人、女性の三人に一人にがんが発症する時代、がん保険に入っていても手遅れでは何にもなりません。
50代以降は半年毎ドックの必要性を真剣に考え始めています。

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(参考)
盆の起源は、盂蘭盆(うらぼん)はサンスクリット語の「ウランバナ」(ullambana)の音写語だそうだ。
日本では、この「盂蘭盆会」を「盆会」「お盆」「精霊会」「魂祭」「歓喜会」などとよんで今日も広く行なわれている。
古くは推古天皇の14年(606年)4月に、毎年4月8日と7月15日に斎を設けるとあり、
また斎明天皇の3年(657年)には、須弥山の像を飛鳥寺の西につくって盂蘭盆会を設けたと記されている。
posted by 筒井豊春 at 11:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月13日

ファイトケミカル入門

前回取り上げたAGE(終末糖化産物)は、体内蓄積が進むと様々な病気の元凶になる悪玉物質でした。
そこで、逆に今回は健康を増進する食物は何かを考えてみました。そこで遭遇したのがファイトケミカルでした。

1980年代にアメリカで健康増進の研究プロジェクト(デザイナーフード・プロジェクト)の過程で、この善玉物質が発見されました。
その種類は数千から1万とも言われています。
未だ1割の900種類ほどしか解明されていませんので今後の研究成果が楽しみです。

そのファイトケミカル(phytochemical)はギリシャ語の「植物」の意味のphytoと「化学物質」のchemicalの合成語です。
直訳すると「植物化学物質」となります。
紫外線などによる活性酸素の害から植物を守る働きをする化学物質ですが、植物の色素や苦み、渋味や香りなどの主成分です。
ファイトケミカルは活性酸素に対する抗酸化作用を有して人体にとって極めて有益な物質です。
体内で合成できませんから緑黄色野菜や果物から摂取します。

ファイトケミカルのほんの一部を以下に紹介しますと、聞き覚えのある単語が出てきます。
ファイトケミカルはその総称だったわけです。

@ポリフェノール(赤ワイン)
Aフラボノイド(春菊やピーマン)
Bカロテノイド(βカロチン)
Cリコピン(トマト)
Dショウガオール(しょうが)

更に、@のポリフェノールだけみても、赤ワインやブルーベリーに含まれ動脈硬化予防効果のあるアントシアンが有名ですが、緑茶に含まれる殺菌効果のあるカテキン、大豆に含まれ女性ホルモンのバランスに有効な大豆イソフラボン、ウコンに含まれ肝機能に優れた効果のあるターメリック、そばに含まれ血圧低下と血管の弾力性に有効なルチンなど300種以上あることがわかっています。大変奥が深いと思います。

「野菜の王様」
特に、ブロッコリーは、ファイトケミカルが200種以上含まれる野菜の王様だと言われています。
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スルフォラファン(イソチオシアネート)及びその前駆体であるグルコシノレート、抗酸化作用のあるカロティンやビタミンC、ビタミンE、赤血球を作成する葉酸、ビタミンU(キャベジン)、その他にもクロム、鉄、ビタミン・ミネラルや食物繊維を多く含んだ万能野菜です。

その子供、ブロッコリー・スプラウトはさしずめ“王子”といったところでしょうか。
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その新芽は、強い抗がん作用を持つスルフォラファン(イソチオシアネート)やグルコシノレートが豊富に含まれているそうです。ブロッコリーは野菜の王様と王子と覚えておきましょう。

「果物の王様」
リンゴにも、がん予防に効果を発揮するポリフェノールが大量に含まれています。
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リンゴに含まれるプロシアニジンというポリフェノールは、がん細胞を自死させる働きがあることがわかり注目されています。
中性脂肪の蓄積を抑制する作用もあるようです。
リンゴのポリフェノールは皮と果実の間に多く含まれるので、良く洗って皮ごと食べる習慣をつけると良いそうです。
がん患者のお見舞いはリンゴが最適です。

最近日本人の平均寿命が発表されましたが、長野県は男女とも日本一に輝いています。長野県の減塩運動は有名ですが、長野県民の野菜摂取量も有名です。それに、がん予防効果の高いリンゴの日本一の生産高も貢献しているものと思われます。

逆に、日本で平均寿命の最下位は青森県です。
青森県は塩分摂取量が全国2位、飲酒習慣者1位、男性喫煙率1位、自殺率1位と不名誉なランキングが並びます。
長野県同様にリンゴの主要産地であるにもかかわらず惜しい限りです。
長野を見習って減塩・野菜運動を展開すればもっと平均寿命を延ばせるはずです。

今年5月19日、懇親会場で青森県のむつ市長が倒れ、くも膜下出血で62歳の若さで他界されました。
その後、6月30日の市長選で長男の宮下宗一郎氏(35)が新市長に選出されています。
むつ市から青森県民健康運動の発展に期待したいと思います。
posted by 筒井豊春 at 09:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月11日

AGEとは?

AGE(Advanced Glycation End Products)は、日本語で終末糖化産物と呼ばれています。“タンパク質と糖が加熱されてできる物質”です。最近の抗加齢学の研究では、外見上の老化と体内の老化は密接に関連しており、外見が老けている人は体内の老化も進んでいることがわかってきました。確かに、同じ年でも若々しくみえる方と老けてみえる方がいます。その原因がAGEなのです。
AGEは強い毒性を持ち、老化を促進する物質です。
AGEが体内で形成される量=血糖値x持続期間で表されます。AGEの蓄積はシミ・シワや認知症などの外見上の老化に加えて、血管に蓄積すると心筋梗塞、脳梗塞、がん、糖尿病、骨粗しょう症、白内障、アルツハイマー病などの深刻な病気を引き起こすことが明らかになってきました。その糖化現象の代表的な病気が糖尿病ですが、1971年から1980年の疫学調査で糖尿病患者の寿命は、男性で10歳、女性で15歳ほど短縮されるとの結論が出ています。つまり、AGEの過剰な蓄積は老化現象を促進し、寿命を確実に短縮するというわけです。
この老化促進物質であるAGEは二通りの方法で体内に蓄積します。まず、体内で血中のブドウ糖が過剰になるとタンパク質に糖が結びつき体温の加熱で「糖化」現象が発生します。次に、飲食から体内に取り込まれるAGEがあります。例えば焦げたパンや肉片などにも多くのAGEが含まれています。体内及び体外から取り入れられたAGEは強烈な毒性を生み出し、人体の老化現象を加速することになります。
結論として、老化を防ぐためには、できるだけAGEの体内形成を抑制し、AGEを多く含む飲食の摂取を極力避けることが肝要です。つまり、血糖値の上昇を抑える工夫が必要なのです。例えば、食事の食べ方一つとっても、まず初めに野菜やキノコや海藻類を食べることで糖質の吸収を抑え、次にご飯やパンなどの炭水化物を摂ることで血糖値の急激な上昇を抑えることができます。満腹まで飲食すると血中に糖が溢れだしAGEが作り出されます。腹八分目で食事を済ませる習慣を身に付けることが肝心です。
実は、その体内のAGEレベルを簡便に測定するAGEリーダーという機械があります。AGE測定推進協会も設立され、弊社もその構成メンバーとしてAGEリーダーの普及に貢献しています。ご参考:www.age-sokutei.jp

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2014年08月08日

日焼けベッドと皮膚がん

先日の「がん予防」の中で太陽の紫外線と日焼けベッドは皮膚がんの引き起こす可能性を伝えました。
がんは遺伝による病気ではなく、遺伝子の突然変異によって引き起こされる病気です。
素人考えで人工の紫外線で体を焼くことは正常な遺伝子を傷つけ皮膚がんを起こすことは当然と思っていました。

調べてみると世界では思っていた以上に厳しい規制が始まっています。
WHOの国際がん研究機関(IARC)は、2009年日焼けベッドの発がん性をタバコと並ぶ発がんリスク分類で最高レベルに引き上げています。
それ以来、オーストラリアや欧州では若者の日焼けベッドの使用を禁じていますが、ブラジルでは全ての年齢層の日焼けマシンの使用が禁止されています。
米国でもカルフォルニア州では日焼けベッドの規制の声が上がっています。
訴訟大国米国ですから、業者は怖くて営業できないのが現実ではないかと推測します。米国の状況については友人に実情を聞いてみたいと思います。

皮膚がんの中でも最も恐ろしいのがメラノーマ(悪性黒色腫)です。
転移が早く死に至ります。
メラニン色素を発生させる細胞ががん化したものです。
日焼けマシン機器がメラノーマの最悪の危険因子とIARCが認定しています。
最近はあまり見かけなくなりましたが、顔黒の高校生の顔を見るたびに彼女たちの将来を不安に思っていました。
しかし、その後も、消費者団体や監督官庁から日焼けサロンの規制の話はほとんど聞かれません。

日本では依然として1000ヶ所で日焼けサロンが営業しているそうです。
まず、監督官庁は日焼けサロンの安全性と皮膚がん発症のリスクをについて欧米での実情を含め消費者に明確に伝える義務があります。
同時に、日焼けサービスを受ける消費者も皮膚がんの発症リスクと自身のファッションを天秤にかけて自己責任でサービスを受けることが望ましいと考えます。


参考資料:米国がん協会の資料からの皮膚がんの見分け方
皮膚がんは早期の発見が可能です。医師と患者が皮膚がんの発見に重要な役割を担います。
以下の症状が現れたら直ぐに医師の診断を受けて下さい。

・皮膚の変化、特に、ほくろ、腫瘍、あざ、おでき、新たなほくろ(色が無色でも)等のサイズまたは色の変化が現れた時
・鱗状皮膚、毛細血管出血、出血、こぶや根瘤の見え方の変化
・治りにくい傷
・ほくろ、または傷痕の端から超えて広がる濃い色のような、周辺を超えた色素沈着(色付)の広がり
・痒み、敏感、痛みなどの感覚の変化
posted by 筒井豊春 at 08:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月06日

肺がんとラドン

昨日のブログ「がん予防」で、米国ヘルスライン社の発がん物質リストの中でアスベストを始めとする発がん物質については常識の範囲で理解できるものでした。
しかし、我々、日本人にはラドン温泉で親しまれているラドンの発がん物質に関しては少し違和感を覚えましたので、出張中の合間にネットで調べてみました。

日本人にはラドン温泉の効用が昔から人気です。
ラドンの放つ放射線が健康に寄与するという「ホルミシス効果」を謳っており、痛風、血圧降下、循環器障害の改善、悪性腫瘍(がん)の成長を阻害などの効能があるとしています。

しかし、世界保健機構や米国がん協会や環境省は、ラドンガスの発がん性に対して強い警告を発しています。米国ではラドンの発するガスを吸引することはタバコに次ぐ肺がんの死亡原因だというのです。
米国の政府レポートでは毎年2万人以上が、ラドンが原因の肺がんで死亡していると断言しています。ですから家庭内の定期的なラドン検査を積極的に推奨しています。

私は医学者でも科学者でもありませんので、どちらの論理が正当なのかの判断できる立場にありません。
日本の厚生省やがん協会などのHPから今のところラドンの発がん性に関する記述は見つけられませんでした。しかし、このような世界的な風潮の中でラドン温泉の営業許可責任を持っている監督官庁は責任を持ってラドン温泉の安全性について見解を示すべきだと考えます。
賢明な読者諸兄のご意見を拝聴したいと思います。

http://www.who.int/ionizing_radiation/env/radon/en/index1.html
(世界保健機構のラドンリスクの記述、巻末に2005年ラドンレポート)

http://www.cancer.gov/cancertopics/factsheet/Risk/radon
(米国がん協会のラドンリスクへの警鐘)

http://www.epa.gov/radon/healthrisks.html
(米国環境省の警告)

posted by 筒井豊春 at 12:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月05日

がん予防

がん予防についての文献や資料は日本でも数多く出版されています。
代表的なものでは
@日本対がん協会“がんを防ぐ12か条”
A国立がん研究センターのがん情報サービス“日本人のためのがん予防”
などが利用できます。

日本のがん予防と米国のがん予防では基本的な差異はないように思われますが、以下に米国のhealthlineのがん予防について翻訳紹介させていただきます。

(がんを100%予防できる方法は存在しませんが、がんが体内で発症するリスクを軽減するいくつかの方法は存在します。

禁煙
喫煙は肺がん加えて口腔がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がん、子宮頚部がんを誘発します。
米国の科学者は米国人の30%のがん死亡は喫煙に起因すると考えられています。
受動喫煙もがんリスクを増加させることが知られています。
禁煙したからと言って、全く喫煙しない人の水準までがんリスクを低下させることはできませんが、禁煙はやはり有効です。
全米がん協会によると、30歳までに禁煙した人は、喫煙による肺がん、肺気腫、慢性気管支炎などでの死亡率を90%低下させ、 50歳までに禁煙した人はそのリスクを50%ほど低下させるといわれています。

発がん物質を避けること
発がん物質とはがんを誘発する化学物質です。タバコは50種類の発がん物質を含むといわれています。
その他の代表的な発がん物質には次のものがあげられます。
・アスベスト
・ベンゼン
・カドミニウム
・ニッケル
・ラドン
・ウラニウム
・塩化ビニール


紫外線や放射線への暴露の極小化
太陽(人工の日焼けベッド)からの紫外線は皮膚のDNAを傷つけ皮膚がんを引き起こします。
日中外出するときは、帽子、サングラス、皮膚全体を覆う衣服、日焼け止めクリームを頻繁に塗ることなどで注意しましょう。

その他の放射線、自宅での高水準のラドン (放射性ガス)や医療放射線(X線やCTスキャナーなど)は、同様にがんを誘発します。
不必要な放射線への暴露を避けるために自宅でのラドン放射線量を検査してみてください。(簡単で安いテストキットがホームセンターで手に入ります)。
過剰なX線を避けるために可能であれば同様の検査を行いましょう。

健康な食事と運動
脂肪や赤肉、加工肉を多く含む食事は大腸がん、前立腺がんやその他のがんを誘発するという研究結果が出されています。
過剰な飲酒、つまり毎日女性で一杯、男性で2杯以上の飲酒は、口腔がん、食道がんや肝臓がんを誘発します。
一方、果物や野菜や全粒穀物の豊富な食事は消化器系、肺やその他のがん発症リスクを軽減します。
規則的な運動はがんリスクを軽減することができます。
成人で毎週2.5時間の適度な身体運動する人はそうでない人に比べて大腸がんの発症リスクを三分の一に軽減することができます。
posted by 筒井豊春 at 11:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月04日

がんの早期発見

7月10日、国立がん研究センターは2014年のがんの発症数と死亡者数の予想を発表しました。

がん発症総数を88万2000人、死亡者総数36万7100人。
発症の内訳は男性50万1800人、女性38万400人。
一方、死亡者数は男性21万6000人、女性14万9500人。
男女比率が約6:4で男性が高いことは、喫煙比率によるものと推察されます。

実は、医学の進歩にも関わらず、発症数は2010年の全国推計値より5年間で7万7000人と1割ほど増えています。日本人の平均寿命が延びている以上、老衰によるがんの発症が増えることは人口動態から当然の結果といえます。
しかし、問題は平均寿命に至る前の若年のがん患者の死亡者数をいかに減少できるかです。
その対策は、がんの早期発見に尽きます。

以下は米国の医療健康情報サイトhealthlineからの抜粋翻訳です。

“多くの兆候はがんの罹患を示唆します。しかし、不幸にも他の病気も同様な兆候を示す場合がありますので、以下に述べる兆候が一つでも二つでもあった場合は直ちに医師の診断を受けるべきです。
反対にがんは全く兆候がない場合もありますので、特定のがんの早期発見には定期的な健診が不可欠です。

・痛み
・皮膚の下のしこり
・新たなほくろ、大きさが変化するほくろ、傷が治りにくい
・しわがれ声
・なかなか治らない咳、血痰、息切れ
・食事の飲み込みが不自由、食後の痛みや胸焼け
・大便や小便などトイレ習慣の変化、または血便や血尿
・予期しない体重の急激な増減
・リンパ節の膨張
・ひりひりするような神経系統の兆候、視野の変化、発作など
・極端な衰弱、疲労
・うつ状態


多くのがんは初期段階での発見が困難なことが知られていますが、いくつかのがんは特徴のある変化で早期に見分けることが可能です。
がんの共通の兆候を知っていれば診察が手遅れになることもないでしょう。
しかし、正確なサインや兆候は個別のがんごとに大きく変わります。結論からいうと、何か変だなと思ったら面倒がらず直ぐに医師の診察を受けることです。

毎年の健康診断や人間ドックの結果、少しでも問題点が見つかれば、保険適用で診察が受けられますので、直ぐに医師の診察を受けるべきです。
がんの場合、若年層では発見された時には既に手遅れという場合が多いのです。それはがん細胞の増殖が盛んだからです。
本来、“無病息災”が最も望ましいのですが、自身の健康を過信してがんなどで手遅れになる場合がないとは言えません。
逆に、何か持病を一つ持って頻繁に主治医の診察や相談ができる“一病息災”の方がかえってがんなどの早期発見には都合が良いかもしれません。

ちなみに、私は入院以降1年以上毎日の体重と血圧、毎月の血液検査と尿検査の後で主治医の診断を受けています。
そのお蔭で、血液や尿の検査数値についてはかなり専門家になってきました。
そして、予防医学研究所の会社の社長に就任しています。

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2014年08月01日

肥満大国世界No.1はアメリカからメキシコへ

肥満の程度を図る指数としてBMI肥満指数が世界の潮流となってきた。

我が国の厚労省も来年度から食事摂取基準を大きく改訂する。
これまで年齢別、性別の1日摂取カロリーを示してきたが、来年度から「エネルギー摂取量と消費量のバランスの維持を示す指標としてBMIを採用する」との方針を決定した。

BMIとは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で表される。
一般的には、BMIの22が最も病気になりにくい理想の数値といわれている。
25以上が太りすぎ、30以上が肥満と定義される。逆に18.5〜17は軽度の栄養失調、16以下は深刻な栄養失調が疑われる。

飽食の時代である現在は世界の3人に1人が太りすぎ(BMI 25以上)と言われている。
何と約25億人だ。
かねてより米国人の太りすぎは有名であったが、2012年の国連統計によると世界一の座をメキシコに明け渡したようだ。
メキシコ人の70%が太りすぎであり、32.8%が肥満であるという。
メキシコ人は従来、野菜や穀物から多くの加工食品を食べているが、炭酸飲料とファーストフード・レストランの普及が背景にあると指摘している。

BMI30以上の国民に占める比率ワースト10
 1.メキシコ        32.8%
 2.アメリカ        31.8%
 3.シリア         31.6%
 4 ベネズエラ       30.6%
 4.リビア         30.6%
 5.トリニダード・トバコ  30.0%
 6.ヴァンヌアトゥ     29.8%
 7.イラク         29.4%
 7.アルゼンチン      29.4%
 8.トルコ         29.3%
 9.チリ          29.1%
10.チェコ         28.7%


この結果、2025年にかけ、肥満による糖尿病患者数は世界で3億人に増加するという。

日本人は、BMI30以上の肥満に分類されるのは男性が4.5%、女性が3.3%である。
男女ともに30%を超すアメリカ人と比較すると如何に健全であるかが理解できる。
昨今の世界的な和食ブームにはこのような背景があるのかもしれない。

written by 筒井
posted by 筒井豊春 at 15:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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